隣人はだらしない‥‥でも
事務室の鍵を閉める山岡さんの
背中があれ以上腫れていないか
気になっていたのに、真顔でされた
質問に思わずはぁ?と声が出そうになる


「山岡さんには関係ないんですけど、
 残念ながら恋人はつい最近まで
 いましたので。」


『へぇ‥‥意外だな。
 初々しい反応するからてっきりさ。』


はぁ!?


「あの、私は遊びでその‥
 そ、そういうことしたことないので、
 初々しいかは知りませんが、
 山岡さんの周りにいらっしゃる
 人と一緒にしないでください。」


ところ構わずキスとかする人の方が
今の世の中少ないと思いますけどね。


この人がどんな生活を送ってきたのか
頭の中を一度見てみたいものだ



『俺‥‥一途だよ。』


トクン


長い髪をかきあげながらも私を
見下ろす視線に思わずドキッと
してしまう自分の頭を横に振る


『‥茅葵が確かめてみる?』


へっ?


いつもの強引な感じではなく優しく
引き寄せられると、スッポリと
その腕の中に閉じ込められた


細そうに見えて意外にも体は
引き締まってたんだよね‥‥


って!!!違う!!!


「だからそういう事をしないでって 
 言ってるんです!!
 好きな人にだけしてあげないと
 そのうち刺されますよ?」


私は置いといて、こんな美形な男性に
こんなことされて遊びだったなんて
分かったら傷付く人だっていると
思うし、なんなら本当にさっき
言ったみたいな事件になっても
知らないよ?


バタバタと、その腕の中から
抜けようと怒っているのに、
嬉しそうに笑う声が届いて見上げた


「山岡さん!!んっ!!」


こんな誰が見てるか分からない場所で
思いっきり唇を塞がれてしまい、
すぐに離れるかと思いきや、
どんどん深くなる行為に息が苦しくなり
胸を拳で何度も叩いた


「はぁ‥‥はぁ‥‥」


『フッ‥遊びじゃないし、割と
 最初から本音で茅葵には向き合って
 伝えてきたんだけど、言わないと
 分からないなら伝えようか?』


ダメだ‥‥‥
言い返したいのに、体中の酸素を
失ったかのような敗北感に、体の力が
思いの外入らず、立ってる足さえ
小刻みに震えている


「茅葵‥‥‥好きだよ。」


えっ!!?
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