隣人はだらしない‥‥でも
「‥‥‥あの‥‥山岡さんは
 私とどんなデートがしたいですか?」


仕事を終えて2階に来た山岡さんに、
熱めの珈琲を淹れてあげると、
しょんぼりとしていた顔がパァっと
明るくなった


『聞きたい?』


「はぁ‥それなりに‥気にはなります」


答えながらも隣に座ると、そのまま
ソファに押し倒され唇を奪われた。


「ンッ!や、山岡さん!!」


『俺の頭の中なんてさ‥茅葵のこと
 抱き潰したいとか、そんなこと
 ばっかり考えてる‥‥
 デートもしたいけど、もっと
 こういうことしたい‥‥』


確かに初めてそういうことした日から
なんだかんだで一度もタイミングが
合わなくてしてなかったけど、
抱き潰したいって‥‥


「ふ‥‥ふふ‥‥なんか‥可愛い
 ですね。」


初めて会った時から承諾なんか
得ずにバンバンキスして来てた人が、
そう言えばそういうことをしなく
なっていたことに気が付いた途端
笑えてきてしまったのだ


『笑うなんて‥‥』


「すいません‥‥怒らないでください。
 愛しいってことなので。」


『えっ!!?それじゃあLIKEから
 LOVEに進展したってこと!?』


押し倒された体を今度はグイっと
起こされると、両肩を掴まれ
子供のようにワクワクした顔で
私を覗き込んだ



さっきまで落ち込んでいたかと思えば、
わかりやすく今度は喜んでいる


仕事をしてる時とは本当に別人過ぎて、
どちらが本当の山岡さんか分からない
くらいの人格に口角が歪み痙攣した



「はぁ‥言わないとダメなら
 言いますから聞いてくださいね。
 ‥‥大好きですよ‥だらしない
 あなたも素敵なあなたも。
 これでいいですか?それじゃあ
 ‥うわっ!!」


またソファに寝かされると、
舌を食べられてしまいそうなほどの
深いキスを落とされ、息が苦しく
なるまで暫く続けられた


「はぁ‥‥はぁ‥も‥苦し‥‥」


『茅葵、ごめん。デートはまた今度。
 このまま上で続きしようか?』


返事もしてないのに、意地悪くニヤリと
笑う山岡さんに呆れるけれど、
そんな単純な思考回路にも笑えて
仕方なく首に腕をかけて抱きついた


『積極的だね‥‥茅葵が煽ったんだから
 もう止められないからね。』


「‥‥はいはい‥‥好きですよ。
 そんなところも。」




ある日の2人





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