隣人はだらしない‥‥でも
不思議な人達
『お忙しいのにすみませんが、
来週打ち合わせが2件入りました。
8日から仙台まで出張に行きますので
お手数ですが、新幹線と駅近くの
ホテルの予約をお願いします。』
「はい、大丈夫ですよ。
新幹線の希望時間と、ホテルは
レディースフロアがあるところに
しましょう。」
ベビーピンクとパステルピンクの
コラボで本日はメイクもピンク色一色の
ユイさんは座っていたらお人形に
見えるくらい可愛らしい
デザインもかなりの個性的かと
思いきや、ブックデザインをされていて
オシャレで温かみのある作品が
とても多い為、オーダーも多いのだ
『時間はお昼くらいに着くのがあれば
嬉しいです。帰りは昼過ぎの出発で
構いません。』
「分かりました。すぐに予約します。」
『よろしくお願いします。』
フワフワのスカートを揺らしながら
席に戻るユイさんを見ていると、
今度は天音さんがやって来た。
『茅葵さん、これ先週の領収書です。
今からでも間に合いますか?』
「はい、大丈夫ですよ。
ありがとうございます。」
1枚かと思いきや、5枚以上あった
領収書を申し訳なさそうな出す態度に、
金髪マッシュの彼が可愛くて
思わず許してしまいたい気持ちになる
「次からはその週にきちんと出して
くださいね。」
笑顔でそれを受け取ると、ペコっと
お辞儀をしてから席に戻るのを見届けた
ユイさんは年齢非公開
天音さんは意外にも30歳
山岡さんの方が一つ歳下には
見えないくらい天音さんは童顔だ
ハギさんは見たまんまだから、
話しやすいし不思議なところはないけど
ユイさんと天音さんは私の中では
ずっとつかめない不思議な方たちだ。
『ねぇ‥茅葵さ、なんか俺の時と
全然態度違うね。』
「‥‥‥‥なんで隣に来るんです?」
いつの間にかキャスターチェアに
座ったまま私のデスクに来ていた
山岡さんに顔が思い切り引き攣る
ここにいたな‥‥
1番掴めない人がいたわ‥‥
『来ちゃダメな理由ある?』
「用事がないなら仕事をしてください」
『‥‥やっぱり態度が違う‥‥。
俺、上司だし君の恋人だろ?
もっと沢山話しかけてもいいよ?』
「‥‥‥‥特にないです。
忙しいのでもういいですか?」
『茅葵!』
『ヤッホー!忙しいみんなに、
モモちゃんから差し入れよ!』
‥‥‥やっぱりここには変わった
人が集まってる‥‥うん。
それでも今日もここの
デザインオフィスは
不思議な人達が普通に働いている。
楽しいし勉強になることが多いけど、
似た人が集まる場所に来たという事は、
私も相当変わっているのかもしれない。
完