隣人はだらしない‥‥でも
や、家賃がいらない!?
本当に!?


聞き間違えではないと思うけど、
本当にタダでこんな素敵なところに
住めるなら貯金も沢山できる‥‥




『ただし、一つだけ条件がある。』


「条件でもなんでもいいですよ。」


今まで払っていた10万近い家賃の
分を少しでも蓄えて、海外や色々な
場所にデザインを見に行きたい。


頭の中が浮かれ過ぎてお花畑状態
だった私は、いつの間にか目の前に
来ていた山岡さんに気付かなかった。



グッと顔を近づけられビックリして
後退りするものの、壁がそれを阻止し、
ドラマでよく見た憧れの壁ドンをされ
緊張からか唾を飲み込んだ



「あ、あの‥‥‥これは‥一体‥」


『今‥なんでもって言ったね‥‥』


ん?なんだろう‥‥

さっきまでの優しく朗らかなイメージ
とは違い、話し方や声のトーンまで
変わり少しだけ怖い‥‥


逃げたいけど、顔の距離が30センチもない状態で右にも左にもいけない‥‥


『週に一度だけ俺の家の
 掃除を頼んでもいいか?』


へっ?


目の前で綺麗な顔がフッと笑い、
間抜けヅラした私を見てケラケラと
笑いだした。


「そ、掃除くらいします!な、
 何がそんなにおかしいんですか!?」


そんなことなら普通に頼めばいいのに、
どうしていちいちこんなに距離を詰めて
来たのだろう‥‥


下で見ていた人とは別人過ぎる態度に、
二重人格?と思えてしまう。


『フッ‥。悪いな。
 細川さんのこと少し試しただけ。
 普通はあの距離ならキスされること
 多いから、俺に恋愛感情持たないか
 見たかっただけだから。』


はぁ?
 

恋愛感情って‥‥‥
確かにカッコいいし、非の打ち所がない
ような用紙だから街とか歩いてたら
必ず目が行くタイプだとは思う


「ご、ご心配なく!
 仕事で来てますし、そんな気持ちで
 前の仕事を辞めて来てませんから、
 山岡さんのアシスタントも掃除も
 しっかりさせていただいた上で
 判断なさってください。」


ニコッと笑顔で目の前の山岡さんに
笑いかけると、一瞬目が少し開いた
ように感じたけどまたフッと笑った。


『細川さん‥いいね、気に入った。
 せっかくだから挨拶だけ
 しとこうかな。』


「挨拶‥?さっき‥ンンッ!!」


いきなり至近距離から近づかれたと
思ったら、唇が塞がれすぐにリップ音と
共に離れるとニコっと笑われた。
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