ああ
沙耶香side
「…………いっ!!!」
「…………いっ!……………なっ!」
んー?
「……おいっ!仁科!!!」
ハッ!!!と、目が覚める。
やばっ寝ちゃってたっ!
「はっはい!!!!!」
「お前、俺様の授業で寝るなんていい度胸だな」
「すっすみません!!」
教室の前から鬼の形相でこちらを睨んでくるのは、
みんなから「鬼教師」と、恐れられている、
数学の鬼頭先生。
やばいこの先生超厳しくて超怖いんだよ…
「罰としてこの問3を解いてみろ!!!」
…えっ!問3ってまだ習ってないじゃん!!!
こんなの分かるわけない!!!!
「俺様の授業で寝てるくらいなんだからこんなの余裕だよなぁ?」
うっ…どうしよう…ほんとにわかんない…
「…あー…え、えっと…」
トンッ
…?
後ろからなにかでつつかれて、
後ろを振り返ると、蒼が授業で使っている
プリントを、こちら側に向けていてくれた。
あ、蒼ーーーーー!!!
神っ!感謝!!!!まじありがとー!!!
そこに書いてある答えを読み上げる。
「え、えっと18です…」
「うむ、正解だ」
ホッ…助かったぁああ…
蒼には感謝だ!
「…ありがとね」
後ろに少し振り返り
みんなに聞こえないように小さい声で言う。
「…」
蒼から返事は帰ってこなかったけど
ぷいっとそっぽを向かれた。
て、照れてる!?あの蒼が!?
うぉー!!珍しいー!
「ふふっ」
その姿があまりにも可愛く、思わず笑ってしまった。
「なんだよ」
「別にー??」
「あぁ?気色悪い野郎だな!」
「は、はぁ?なによそれ!」
「仁科!!!!!!!」
ハッ
前を見ると鬼崎先生がこちらを睨んでいる。
「お前、まだ懲りてないようだな〜??」
「…す、すみません…でした…」
キーンコーンカーンコーン
そうして、地獄の数学の時間が終わった。