あの日交わした約束
陽向先生の手にはさっき主任から受けとった採血の


セットが入ったトレー。




休憩室に入ると椅子に座るように言われた。




「紗奈。腕出せる?」



そう聞かれて、迷惑かけたくない気持ちもあるけど


久しぶりという恐怖には勝てなくて手が動かない。




「ごめんなさい。怖い。」




陽向先生を信用してない訳じゃない。



優しく接してくれる陽向先生には申し訳ないけど



ほんとに怖くて仕方がない。





「久しぶりだからね。


紗奈のペースでいいよ。失敗はしないこと約束


するから、昔みたいに信じてほしいな。」




そんなこと言われたら拒否できないよ。



迷惑かけたくないって思いが強くなり、覚悟を決め


て腕を差し出した。



そうすると


「ありがとう。」


そう笑顔で言ってくれた。
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