あの日交わした約束
陽向side


今日はこの病院で紗菜ちゃんに会える最後の日。





「紗菜ちゃん。





大事な話があるから聞いて欲しい。」






その言葉を始めとして、9月から転院すると



伝えた。



それを伝えると紗菜ちゃんは悲しそうな顔をして、





「え。もう会えないの?」





そう聞いてきた。





「うん。結構ここから離れてる病院なんだよね。」





紗菜ちゃんの質問に対してこの答えしか



思いつかなかった。





ほんとは俺も転院はしたくない。





医者と患者という関係だからこの気持ちを



隠してきたけど、







俺は紗菜ちゃんのことが好きだった。




紗菜ちゃんは他の患者さんとは違う惹かれるものを


持っていた。






いつも笑顔で「先生聞いて!!」って話をしてくれ


て、ほんとは病院が嫌いなのに進んで会いに来てく



れて、時々強がるところも可愛くて、全部守りたい



と思ってしまう。





そんな紗菜ちゃんのことがほんとに好きだった。






ただ仕事の都合だから仕方ない。


紗菜ちゃんと今日会うまではそう割り切って考えてきた。




だけど紗菜ちゃんの涙を見るともっと一緒に居たか



ったそう思った。












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