あの日交わした約束

私が聴診の1番嫌いなところ。


それはチェストピースが身体に当たって冷んやりと


する感覚。


これが本当に苦手。



それを陽向先生は読み取ったのか


手で温めてから当ててくれた。



それだけで気持ちが全然違う。


いつもよりも落ち着くことができた。



「じゃあそのまま少し深呼吸続けててね。」



真剣に音を聞こうとする陽向先生はとてもかっこい


いと感じた。



「よし終わり。


よく頑張りました。


次は喉見たいんだけど、口開けれる?」



「それ苦しくなるから、嫌、です。」



そう言って私が指を指したのは、陽向先生が


右手に持っている舌圧子だった。



私は嘔吐反射が強くて、舌圧子を入れられるから


喉を見られるのはずっと苦手だった。


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