あの日交わした約束
紗奈side


「ん。」


「え?紗奈?」


目を開けると白い天井が初めに目に映った。


それから男の人が私の手を握っていた。


「紗奈、わかる?」


「ごめんなさい。


誰ですか?」


その男の人のことは全く記憶になかった。


その人は少し悲しそうな顔をして


「立花 陽向って言います。


この病院で医者をしています。」


そう言ってどこか寂しそうな目で笑った。



「自分の名前は分かる?」



「七瀬紗奈です。」



「誕生日は?」



「10月24日?」



「うん。合ってるよ。


何の仕事してたか分かる?」



「ごめんなさい。

分からないです。」


「謝らなくて大丈夫だよ。」


そう言って笑顔を向けてくれた。




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