あの日交わした約束

再スタート

陽向side


「陽向、紗奈ちゃんは逆行性健忘を発症してる。


だから、多分自分の名前や誕生日とかの昔からの記憶

は残ってるけど、比較的最近の記憶は失ってる。


まだ完全に記憶が戻る可能性がゼロではないから、

少しずつサポートしていこう?」



そう言われた瞬間目の前が真っ暗になった。



覚悟していたはずなのに現実を見るのが怖かった。



「嘘だよ、覚えてるよ。」この言葉を紗奈から聞きたく


て仕方がない。



現実を受け入れたくない。



「正直かなり混乱してる。

すぐこの事実を受け入れるのは難しいけど、

前向きに進むように努力するから、悠輝にも迷惑

沢山かけるかもだけど、手助けしてほしい。」



「当たり前だよ。なかなか受け入れられなくて

当たり前。だから焦らなくていいからゆっくりで

いいから、紗奈ちゃんの最善を考えていこう。


迷惑なんて気にしなくていい。お互い様だから。」



悠輝のこの言葉にどれほど救われたか分からない。


本当に良い同期だと改めて思った。



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