モブの私が理想語ったら主役級な彼が翌日その通りにイメチェンしてきた話……する?
 そうなんだ。私は私の事が好きなら、それだけで良いって人ではなくて、鷹羽くんみたいな人が好き。それって、好みの問題で、私はそう言う人が好きだってだけで……。

「嬉しい……俺も有馬のこと、好きだから」

 私たちが見つめ合ったところで、キンキン高い声が聞こえた。

「ちょっと! 鷹羽くん! こっちに来てよ!」

 そうだろうと思った通りに、そこには夕凪さんが居た。

 すっごく気に入らない様子で、私たち二人睨み付けていた。

「夕凪……あの」

 私は仁王立ちで腕組みをした夕凪さんに話そうとした、鷹羽くんの前に出た。

「夕凪さん。私たち二人、付き合うことにしたから。何しても無駄だから。それに、こんな風に脅したって鷹羽くんは夕凪さんのこと好きにならないと思う」

「……何ですって?」

 夕凪さんは私がそう言ったことに驚いているようだ。私だって怖い。向こうは良く目立つ女子で、スクールカースト上位で権力を持っている。

 私みたいな目立たないモブのことを、心底馬鹿にしていると思う。

 けど、可愛いから目立つからって、言って良いことと悪い事がある。

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