モブの私が理想語ったら主役級な彼が翌日その通りにイメチェンしてきた話……する?
「もう……やめた方が良いと思う。だって、邪魔されたら、私と鷹羽くんもっとお互いに好きになるよ。恋の障害ってそう言うことだよ。夕凪さんのしていることって、全部逆効果だし、鷹羽くんがもっと私を好きになるように仕向けているのかなって思っちゃう」

 私がそこまで言うと、夕凪さんは顔を真っ赤にして振り返って去っていった。

 嫉妬でおかしくなるって、割と普通のことみたいだし、そうなってもおかしくないよね。

 けど、どんな物語でも、それをしてしまえば、好きな人には永遠に好かれることは無くなるんだよね。

 私は夕凪さんの後ろ姿が見えなくなるまで眺めてから、後ろに居る鷹羽くんを振り返った。彼は口元を押さえて何だか感動しているようだった。

「ごめん。余計なことした?」

「いや……俺こそごめん。有馬に守って貰って……」

 鷹羽くんは赤い顔で、苦笑していた。

 私は何となく、戦った後のように気持ちは高揚していた。うん。あれって、恋の戦いだったのかな……私、勝ったのかな。

 これだけはわかる。怖くても、逃げずに立ち向かえたと思う。

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