モブの私が理想語ったら主役級な彼が翌日その通りにイメチェンしてきた話……する?
18 スピードの訳
急激に暖かくなってきた気候は、夕方の空気もぬるくする。
私たちはショッピングセンターを出て、二人隣り合って帰っていた。
不快感はまだそこまでないけど、雨が降り出すともっと重く感てしまうのかも。
隣の鷹羽くんの周りだけ爽やかに感じちゃうのは人徳なのか、その毒気のない笑顔のせいなのか良くわからない。
鷹羽くんは私の隣で、長い足をじれったいくらいゆっくり動かして歩く。
私はもう少し早く歩けるし、合わせてくれているって訳でもなさそう。逆にこっちが彼に合わせて歩いていた。
けど、今の中途半端な関係の私が、それをどうしてって聞くのは何だか違う気がした。
「あの、ここで良いよ、ごめんね。結果的に部活サボらせちゃった」
お互いの家の丁度中間地点になるだろう、学校の近くの交差点で私は言った。
鷹羽くんは、ううんと首を横に振った。
「家まで送るよ。……時間あるんだし、送らせて」
「誰かに見られたら、私と遊んでたのバレちゃうよ?」
私は周囲を見回した。
下校時間が過ぎて長いし、運動部の人たちが学校を出るのはまだ先の話だ。
近くにうちの学校の制服を着ている子はいないけれど、何かの用事で残っていて偶然見かけられたら、週明けは噂になるだろう。
それに運動部だってランニングしたりして、この様子を偶然見かけられてもおかしくないし。
「……有馬は困る?」
鷹羽くんの眼鏡の奥の真摯な視線に、なんて答えようか困った。
私たちはショッピングセンターを出て、二人隣り合って帰っていた。
不快感はまだそこまでないけど、雨が降り出すともっと重く感てしまうのかも。
隣の鷹羽くんの周りだけ爽やかに感じちゃうのは人徳なのか、その毒気のない笑顔のせいなのか良くわからない。
鷹羽くんは私の隣で、長い足をじれったいくらいゆっくり動かして歩く。
私はもう少し早く歩けるし、合わせてくれているって訳でもなさそう。逆にこっちが彼に合わせて歩いていた。
けど、今の中途半端な関係の私が、それをどうしてって聞くのは何だか違う気がした。
「あの、ここで良いよ、ごめんね。結果的に部活サボらせちゃった」
お互いの家の丁度中間地点になるだろう、学校の近くの交差点で私は言った。
鷹羽くんは、ううんと首を横に振った。
「家まで送るよ。……時間あるんだし、送らせて」
「誰かに見られたら、私と遊んでたのバレちゃうよ?」
私は周囲を見回した。
下校時間が過ぎて長いし、運動部の人たちが学校を出るのはまだ先の話だ。
近くにうちの学校の制服を着ている子はいないけれど、何かの用事で残っていて偶然見かけられたら、週明けは噂になるだろう。
それに運動部だってランニングしたりして、この様子を偶然見かけられてもおかしくないし。
「……有馬は困る?」
鷹羽くんの眼鏡の奥の真摯な視線に、なんて答えようか困った。