モブの私が理想語ったら主役級な彼が翌日その通りにイメチェンしてきた話……する?
「澪。少し待ってって」
重い通学バッグを持って早足で歩く私と、手ぶらでリーチの長い行高との競争なんて、ほんとすぐに決着がついてしまう。
靴箱の前で、ぐいっと肩を引かれてしまった。
「なんで? 助けたつもりだったけど、俺間違えた?」
「ううん。間違えてない。けど」
なんだろう。鷹羽くんのことが好きになりかけているのは認めるのは難しい。恥ずかしい。それを、行高には言い難い。
「あいつと……もう付き合ってるって?」
「付き合ってない。けど、正直、気になってる」
気になっている。別に一番最初に告白されたからって訳でもなくて、鷹羽くんが私のことを好きで居てくれて、それなのに、よくわからない態度を取られてショックだった。
けど、理由を聞けばそれも仕方ないと思った。