お菓子の国の王子様
「ただいま」


彼女が言うや否や、家の中から小動物のような小柄な女性がちょこまかと走り出てきた。身長は美愛ちゃんより少し高い和風美人系の女性、この方が彼女の母親であると思われる。


「あら〜、待ってたわよ。いらっしゃい。どうぞ、どうぞ」


エネルギッシュなお母さんに案内され、彼女の両親の前に座った。


小柄な母親とは対照的に、座っていてもその違いがわかるが、父親は俺よりも身長が高い。彫りの深い顔立ちで、緑色の目が印象的だ。彼のような人を世間では『イケオジ』と呼ぶのだろう。確か、美愛ちゃんは以前、『オッチャン』と呼んでいたっけ?


噂によれば、彼女の父親であるジョセフ・ヴィッテルスバッハ氏は、非常に愛妻家であり、3人の愛娘たちを溺愛していることで知られている。


これは説得するのに時間がかかるかも?




「初めまして、株式会社BON BONの社長、西園寺雅と申します」
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