お菓子の国の王子様
父親は隣の母親を強く抱きしめた。
母親は抱きしめられながら俺たちに向かって微笑み、指でオーケーサインを送る。
うちの両親もいまだに仲が良いが、彼女の両親はその何十倍も仲が良い。
この時俺はこの家族を上手くまとめ、一番初めに味方につけるべき人物がこの母親であることに気づいた。





無事に両親からの許しを得て、夕飯をご馳走になる。


彼女の両親と話せば話すほど、美愛ちゃんがいかに大切に愛されて育ったのかがわかる。
両親に彼女の仕事ぶり、特に彼女のおかげで諦めかけていた契約が取れた話をすると、父親は目を細めて嬉しそうに頷いていた。


母親はお姉さんたちのことを教えてくれる。性格は美愛ちゃんとは正反対で、お姉さんたちはどちらかと言うと母親の外見と行動力、父親の身長と頭脳を受け継いでいるそうだ。


二人ともかなりのシスコンらしい。
そして、ビジネスの拠点を東京に移すことについても話してくれた。
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