お菓子の国の王子様
「えっ、僕? どうかな? ミャーちゃんは僕を王子様だと思ってくれる?」

「うん、王子様!」

「僕が王子様なら、ミャーちゃんはとても可愛いお姫様だね。」


そう言って俺は彼女の頭を優しく撫でた。


「ミャーはお兄ちゃんのお姫様なの? 
じゃあ、大きくなったら迎えに来てくれる? お兄ちゃんのお嫁さんにしてくれる?」


こんな小さな子にでも好意を寄せられるのは、嬉しいことだ。
俺の家柄に関係なく、俺自身を見てくれる無垢な心。


「あはは〜、うん、いいよ。大きくなったらね!」


そして、俺の小指と彼女の細く小さな小指を絡めて、約束の指切りをした。


「あのね、お兄ちゃんもお菓子やケーキが好きなの?」

「うん、僕もお菓子とケーキが好きだよ」


美しい瞳を輝かせながら、彼女は嬉しそうに言った。
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