お菓子の国の王子様
コーヒーメーカーと炊飯器しかなかったスカスカの俺のキッチンパントリーが、徐々に埋まっていく。


こう見ると生活感が溢れ出てくるが、それが嫌ではなく、むしろ温かい我が家だと感じさせてくれる。





夕食にはまだ早い時間だったので、俺たちは車でサクラスクエア内のモールに食器類を買いに行った。


引越し業者が誤って箱を落としてしまい、ほとんどの食器が割れてしまったのだ。
それに、俺も皿が一枚とマグカップが一つしか持っていないので、この機会に新しい食器を揃えることにする。
ジャム用のガラス瓶セットも忘れない。


その後、蕎麦屋で引越しそばを食べ、大型スーパーで食材を購入して帰宅した。





俺と美愛ちゃんは、お互いが過ごしやすくなるように、いくつかのルールを決めていく。


その中には「名前で呼び合い、敬語をやめる」も含まれる。
家の中でも、社長と呼ばれるのは避けたい。
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