お菓子の国の王子様

「コミュニケーションを大切にしないか？　俺たちは生まれ育った環境が異なるし、まだお互いのことを仕事以外ではあまり知らないよね？　少しずつでいいから、お互いのことを知っていこう。あっ、それと美愛ちゃんの行動を監視するつもりはないけれど、もし夜出かけるときは教えてほしい。心配だから」

「わかりまし......あっ、わ、わかった。私はほとんど出かけない。おうち大好き人間だから。雅さん、
お休みの日は？」

「俺もそんなに出歩かないかな。たまに大和たちとバーに行く感じだ。じゃあ、美愛ちゃんは友達とクラブやカラオケには行かないの？」


彼女は少し困った表情を浮かべる。


「行ったことがない。多分、そういう場所は苦手。私、アルコールに弱いから行っても飲めないし」

「そうなの？」

「うん、赤くなって眠くなっちゃう。だから、父さま......じゃなくて、父からも外で飲むなって言われてる」


この子が外で飲んだら、きっと簡単にお持ち帰りされるだろう......って、あれ、今父さまって言った？どこかで聞き覚えがあるような。