お菓子の国の王子様
コピー用紙を受け取った美愛は、秘書室へ戻り、渡された2枚重ねの紙を開いた。


『社長秘書の花村美愛は、港区女子でパパ活をしている性悪女。

彼女が着ているスーツはすべて、働く女性に大人気のブランドCool Beautyのオーダーメイド品。花村美愛は、10万円以上のスーツや靴を何着も何足も持っている。

さらに、彼女はミッドタウンから徒歩圏内の高級マンションに男と一緒に住んでいるようだ。

こんな性悪女は会社の恥。即刻解雇すべきだ』


2枚目の紙には、ホテル9(クー)のバレーパーキングでの写真があり、横顔の美愛と後ろ姿の雅、スーパーで撮影された写真もあり、こちらにも雅が一緒に写っているが、彼はキャップを深く被り、サングラスをかけているため、雅だと分かりにくい。
最後の写真は、美愛がマンションに入っていく写真。


悪意のある手紙と、誰かに写真を撮られた恐怖で息苦しさを感じる。


「しゃ、社長に知らせなければ」


呟いた美愛は社長のもとへ向かった。
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