お菓子の国の王子様
書類に目を通している雅に声をかけた。


「あ、あの、少しお伺いしてもよろしいでしょうか?」


雅は顔を上げて美愛を見た。


彼女は少し青白く、心なしか震えているので、思わず席を立ち、彼女に近づく。


「美愛ちゃん、どうしたの? 顔色が悪いし、それに震えているじゃないか」

「これ、午後に総務の人に社内メールが来たんですけど……」


美愛から受け取った紙を読み終えた後、ひとまず彼女を座らせ、すぐに大和と美奈子を呼び出した。二人に紙を見せて、指示を出す。


「大和、システム部に行って、二人と一緒に総務の佐藤周辺のカメラをチェックして。それから、佐藤のコンピュータースクリーンも。美奈子さんは、総務の石田さんや佐藤の席周辺の人たちに、佐藤の様子について聞いてきて」


雅はブレイン8にLIMEメッセージを送信する。すぐに涼介から電話がかかってきた。


「......ああ......そうだ......それは必要か? ......いや、俺がやる......ああ、わかった」
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