お菓子の国の王子様
あぁ、そうか……


社長から、雅さんから言われた質問の言葉だったんだ。まるで取り調べのようで、私が悪いみたいで.....
まさかあんなことを雅さんに聞かれるとは思ってもみなかった。


今まで見たことのない雅さんの表情と冷たい声を思い出すだけで、あの時と同じように私の胃が冷たくなり、呼吸が浅くなっているのがわかる。


商店街を行き交う人々が、涙で次第にぼやけてくる。


でも、どうしてこんなに悲しいの?雅さんが私のことを信じていないからかな?
同居して1ヶ月経ったが、良好な関係だと思っていたのは私だけだったの?
少しずつお互いのことを理解し合えてきたと感じていたのに。今思い浮かぶのは、楽しく一緒に料理をしたり、笑い合って過ごした日々。


このまま同居を続ける?
もう終わりかな?
いやだな、終わっちゃうの。
もっと一緒にいたかったな。
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