お菓子の国の王子様
小さな子供のように泣きじゃくる私の背中を、リズミカルにトン、トン、トンと優しく叩いてくれる。


「もう泣かないで、すべて大丈夫だから。ちょっと待っていて」


雅さんは私をソファーに残し、書斎へ行って何かを持ってきた。まだ泣いている私の隣に戻り、左手で私を抱き寄せる。


「はい、これ」


そう言って、一粒のキャラメルを口に入れてくれた。


あっ、Meuhのキャラメルだ。
あの時、お兄ちゃんのことを思い出すな。
えっ、もしかして……雅さんが?


「泣きやんだね。前に言っていたから、
『Meuhのキャラメルから元気をもらった』って」


なんだ、違うんだ。 雅さんはお兄ちゃんじゃないんだ。


「これから先、また俺たちの意見が合わなかったり、言い合いをするかもしれない。でも、ここは美愛ちゃんの家だから。美愛ちゃんが帰ってくるのは、ここなんだ。いいね?」



雅さんは片腕で抱き寄せたまま、諭すように言った。





そのまま寝落ちしてしまった私は、朝目が覚めると雅さんのベッドで、寝ながら彼に抱きしめられていた。
えっ、えーー、どういうこと⁇
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