お菓子の国の王子様
「これから質問することに対して、正直に答えてください。」


不安そうな表情を浮かべた美愛ちゃんは、左手で胸元にあるネックレスを服の上から触り、時折下唇をギュッと噛んだり、口から小さく息を漏らしり。


きっと泣くのを我慢していたのだろう。
俺は心の中で彼女に謝ることしかできなかった。


彼女の洋服は、すべてお姉さんが彼女のためにデザインし、作ったもの。
そういえば、お姉さんは有名なアパレル会社の社長だと言っていたな。


俺は彼女の素行についても尋ねた。
彼女は沈痛な表情で俺を見つめ、頭を小さく振り、視線を逸らした。
彼女がそんなことをしていないのは、俺が一番知っている。
だって俺たちは一緒に住んでいるからだ。


彼女のお姉さんに電話をかけてもらい、会社に来るよう頼んだ。
美愛ちゃんは、震えるようなか細い声でうつむきながらお姉さんと話をしている。
おそらくドイツ語だろう。
俺にはどんな話をしているのか、さっぱり
わからない。
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