お菓子の国の王子様
彼女との時間を失いたくない。


彼女を失いたくない。


俺のそばにいてくれよ。


俺を君のそばにいさせてくれよ。


お願いだから、戻ってきてくれ......





その後、いつも行くカフェ併設の書店へ再び走る。ここでも何度かぐるぐると探し回ったが、彼女はいなかった。


裏通りに入り、いつも行く大型スーパーへ向かう途中、マンションから近いこの場所に、小さな公園がある。


俺は走るのをやめて、歩きながら公園の様子をうかがうと、ベンチの前に人影が見えた。思わず走って近づくと、ベンチの前に立っている美愛ちゃんがいた。


月を見上げながら夜空を眺め、涙を流している。


走りながら彼女の名前を呼んだが、反応がなかった。
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