お菓子の国の王子様
乾かし終えた俺は、彼女にそのまま待つように言った。


彼女が少しでもリラックスして安眠できるように、キッチンでラベンダーシロップ入りのホットミルクを作る。


彼女はうつむいたままで、俺のことを一切見ようとしない。それだけ俺が傷つけたのだ。


ホットミルクを渡すと、彼女は小さな声でお礼を言ってくれた。今はどんな些細なことでも、彼女の言葉の一つ一つが俺を喜びで満たしてくれる。


一口飲んだ彼女は、驚いた表情で俺を見つめた。


「やっと俺と目を合わせてくれたね......」


嬉しさのあまり、思わず呟いてしまう。


次の瞬間、彼女の目から大粒の涙が雨のようにこぼれ落ち、か細い声で謝った。彼女が持っているカップをテーブルに置き、彼女の頭を抱きしめて、俺の胸に引き寄せる。
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