お菓子の国の王子様
大和の家、烏丸家も旧華族だが、なぜか西蓮寺家に尽くしており、代々社長秘書から副社長に就いている。
大和の兄の悠士も、俺の兄の秘書を務めた後、副社長に就任する予定らしい。


皆が進路を決めている中、俺だけは何も決まっていない。
伊乃国屋の社長になりたいとは思っていなかった。だから、大和に正直な気持ちを伝えることにした。


「はっきり言って、何をしたいのか分からない。お前は、自分が好きなことをすればいいよ。」

「僕は雅と仕事がしたい。それが何であろうと。僕はかなり有能だよ、だって烏丸だからね。僕の情報網と人を見る確かな目は貴重だよ。まだ時間があるから、ゆっくり考えればいいよ」


にっこりと歯を見せて笑う大和。


そうだ、元カノに関する嫌な情報を教えてくれたのも大和だった。
幼い頃から兄弟のように育った大和は、家族の一員として何でも話せる存在だ。


兄の京も悩んでいる俺にアドバイスをくれる。
< 17 / 169 >

この作品をシェア

pagetop