お菓子の国の王子様
8姫と悪魔 #3

甘いほうびと苦い罰

甘いほうびと苦い罰





翌朝、美愛を抱きしめながら目を覚ました雅は軽く彼女の頭にキスをした。
すると、美愛は頬を雅の胸に擦り付けるようにし、右腕を彼の背中に巻きつけた。


「ん〜......」


とっさに雅はそのまま寝たふりをし、美愛の様子を観察することにする。


美愛を抱きしめている雅の手に、彼女の背中から規則正しい息遣いを感じていたが、しばらくしてそれが止まった。
ゆっくりと彼女の顔が雅の胸から離れ、
彼を見上げる。


驚いた彼女は、ヒュッと息を呑んだ。


「えっ、えーー、どういうこと?
なんで雅さんのベッドで一緒にいるの?
覚えていない、覚えていない......今動いたら雅さんを起こしちゃうよね?
どうしよう?でも、もう少しこのままでいたいな。お願い、もう少しだけ」


いつものように、美愛の心の声は漏れ出ており、雅にしっかりと聞かれていた。
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