お菓子の国の王子様

しばらくの間、二人だけの甘い時間を過ごした後、雅はまるでたった今目覚めたかのように振る舞う。


「ん〜、美愛ちゃん、おはよう」

「お、おはようございます、雅さん。あの......」


雅は抱きしめる力を強め、彼女の耳元でささやいた。


「よく眠れた？　俺は久しぶりにしっかり眠れたよ」


低音で落ち着きのある雅の声が、美愛の耳をくすぐる。美愛は自分の顔が赤くなっていることを悟られないように、彼の腕の中からすり抜けようと試みる。


「み、雅さんのベッドを占拠してしまって、ごめんなさい。もう支度しないと」

「あ〜、もう時間か？　仕方がないな」





やっと雅の腕から解放された美愛は、自室に戻り、呼吸を整えて自分自身を落ち着かせた。
しかし、雅に抱きしめられた感触がまだ肌に残っており、この感覚を手放したくないと思ってしまう。