お菓子の国の王子様
会議室に入ると、社長、副社長、父さま、圭衣ちゃん、涼介先生、そしてもう一人の知らない男性が。父さまより少し年上のようで、優しそうな方。


私と目が合った涼介先生が立ち上がり、こちらに歩いてくる。


「本当に申し訳ないことをした。謝って済むとは思わないが。私の浅はかな指示で、花村さんを傷つけた。すまなかった」


涼介先生は私の前で頭を下げる。


「涼介先生、頭を上げてください。きっと先生には、訳があったんだろうって」


「どんな理由があっても、被害者である君を傷つけたことには変わりない。佐藤茉麻に対する法的措置と警察への被害届を、私に担当させてほしい。もちろん、弁護士料は不要だ。こんなことで償えるとは思っていないが、私にできることはこれくらいだから」


この後、優しそうな男性からも謝罪を受けた。実は、涼介先生のお父様である伊集院圭介先生は、父さまの会社の顧問弁護士だ。
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