お菓子の国の王子様

「ご冗談を、交渉期間はすでに過ぎてしまいましたよ。あなたの娘の態度から、よくも示談と言えましたね。もう遅すぎます。麻茉さんは、花村さんとの事実関係が全くないことを広めた上に、謝罪もありません。それに、本人がこれではね。法廷に行ってもらいますから」

「麻茉、お前というやつは！」


佐藤敏夫は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、手を麻茉の頭に添えて、無理やり彼女の頭を下げさせる。


敏夫は最後にもう一度謝罪し、ブツブツと文句を言っている麻茉を連れ帰った。


親にとっては、やはり示談で解決したかったのだろう。たとえそれがどのような子供であっても。ここにいる皆が、私を守ってくれたかのように。


この後、涼介先生にこの件を依頼する手続きで、書類に署名と印鑑を捺した。この印鑑はこのために必要だったんだ。


父さまが帰る際に抱きしめてくれた。


「これで心配はない。雅君がすべて計画してくれた。彼は美愛のことを本当に大切に思っていると、私に伝わってきたよ」