お菓子の国の王子様
えっ、えっ、今、結婚って言った?
これってプロポーズだよね?
本当に?まさか、ドッキリなの?
ど、どうしよう、嬉しすぎる!


突然のことでパニックになっている私に、彼はもう一度言ってくれた。


「花村美愛さん、君のすべてを受け止め、守ります。だから、これからもずっと俺のそばにいてください。俺を君のそばにいさせてください。そして、二人でお菓子屋さんを開き、俺たちの子供の父さまが俺で、君が母さまになってください」


ちゃんと覚えていてくれたんだ、あの時の約束を。


「わ、私でいいの? 本当に私でいいの?」

「ああ、美愛ちゃんがいい。君じゃなきゃダメなんだ」

「でも私には何の取り柄もないし」

「俺にとって美愛ちゃんは、幸運を運んでくれる天使なんだよ。最初に会った時も、秘書として再会した時もそう感じている。俺は君からたくさんのものをもらっているんだよ。」

「私もずっと雅さんと一緒にいたいです。私を雅さんのお嫁さんにしてほし......」



言い終わる前に、唇に柔らかくて温かい感触を覚える。それが雅さんの唇だと気づくまでに、数秒かかった。ただ触れるだけの口づけなのに、愛する人とのキスがこんなにも満たされた気持ちになるなんて。大好きな人とのファーストキス。


この日から、私たちは雅さんのベッドでただ抱きしめ合いながら一緒に寝ている。もちろん、プードルのBon Bonも一緒に。
< 193 / 196 >

この作品をシェア

pagetop