お菓子の国の王子様




「違うわよ。あなたは本当にこういうことに興味がないのね。『元祖慶智の王子たち』とは経済界の御曹司たちのことで、九条ホテル不動産の九条仁、伊集院総合法律事務所の伊集院涼介、近衛総合病院の近衛彰人、伊乃国屋コーポレーションの西園寺京、株式会社BON BONの西園寺雅。そして、烏丸悠士と大和ね。烏丸家は代々西園寺家に仕えてて、伊乃国屋とBON BONの副社長を務めてるの。この7人が『元祖慶智の王子たち』として話題になって騒がれていて、雑誌でも特集が組まれるくらいよ」

「えっ、そうなの? ごめん、知らなかった」

「いいわよ、知らなくても。今回あなたに受けてもらいたいのは、BON BONの社長秘書のポジションで、条件が美愛にぴったりなのよ」

「ちょ、ちょっと待ってよ。りりちゃんの大学、慶智って言ったら御曹司や御令嬢たちが通うところじゃないの? そんな人が作った会社で、一般人の私が何の取り柄もないのに役に立つわけがないよ」

「美愛あなたね、いい加減に自分を卑下するのはやめなさい! あなたは自分が思っている以上に素晴らしい能力を持っているのよ! まぁ、聞いて......」


りりちゃんによると、その条件とは、

1. 数カ国語に堪能

2.秘書の経験がある

3.これが特に重要で、社長に対して色目を使わない
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