お菓子の国の王子様
「父親は医療機器の会社を経営。その会社がさ、あのHope Medical Japanの社長。確かミスター・ジョセフ・ヴィッテルスバッハ。母親は下町で花村レディースクリニックを開業している産婦人科医。少し年の離れた姉はアメリカで女性向けブランドのアパレル会社を立ち上げたらしい。もう一人の養女のお姉さんもアメリカで一緒に働いているらしいよ。あっ、百合先生と彼女の母親は中学時代からの親友で、今でも家族ぐるみの付き合いだって。雅が懸念するのも理解できるけど、花村さんは今までうちに秘書面接で来た女性たちとは明らかに異なると言えるよ。まあ僕が直接面接を行ったからね。それに、僕が『烏丸』であることは分かっているでしょう? 人を見る目には自信があるし、今回は『先見の明』のようなものが働いてね。絶対にこの子を逃してはいけないって……お前は、いろいろな意味で後々僕に感謝することになると思うよ」
大和は白い歯を見せて得意げに笑う。
そんな大和を見て、雅は彼の最後の言葉が妙に引っかかっていた。
「まあ、大和の人を見る目は確かだからな」
「それから、社長からの質問にも即答したよ。今まで面接を受けた子たちは、この質問に答えられなかったもんね」
「えっ、本当か? 何て言ってた?」
驚きを隠せない雅。
「それはお前が自分であの子に聞いてみなよ」
にやけながら、大和は花村美愛のファイルを雅に渡した。
「花村美愛か......」
つぶやきながら、雅はファイルに目を通す。
大和は白い歯を見せて得意げに笑う。
そんな大和を見て、雅は彼の最後の言葉が妙に引っかかっていた。
「まあ、大和の人を見る目は確かだからな」
「それから、社長からの質問にも即答したよ。今まで面接を受けた子たちは、この質問に答えられなかったもんね」
「えっ、本当か? 何て言ってた?」
驚きを隠せない雅。
「それはお前が自分であの子に聞いてみなよ」
にやけながら、大和は花村美愛のファイルを雅に渡した。
「花村美愛か......」
つぶやきながら、雅はファイルに目を通す。