お菓子の国の王子様
「でも、本当に迷惑よね、総務の悪魔。あいつ、社内外で男漁りがひどいって噂よ。うちのかわいい美愛ちゃんに何かしたら、私がぶん殴ってやるからね!」

「静子さんは赤ちゃんがいるんだから、そんなことをしたらダメですよ!」


焦る野近が静子を落ち着かせようとする。


「僕たちも佐藤に注意を払い、美愛ちゃんにも頻繁にチェックしたほうが良いですね。また、何かあった場合には、必ず僕たちに報告するように伝えましょう。佐藤は影でターゲットを狙っていじめるタイプですからね」


元原も心配していた。





「花村さん、今日は資料作成とリサーチをお願いする。君の席はあそこね」


雅は自分の机の右斜め前にある壁を指差した。


後ろを振り返った美愛は、昨日までなかった机、コンピューター、電話、椅子を確認した。


昨日、大和と雅が準備を整えたのだ。
万が一、佐藤が行動を起こしても、この社長室には入らないと考えて。
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