お菓子の国の王子様




取引先銀行の支店長から頭を下げられた、いわゆるコネ入社の佐藤。
特に目立った資格もなく、雑用として総務に配属されたが、与えられた仕事をほとんどせず、気の弱い後輩に押し付けていた。
昨年、新卒で入社した女子社員に対して影で嫌がらせをしていたらしく、その女子社員は退職した。
しかし、十分な証拠を集めることができず、今に至っている。


(もううちで3年も預かっているのだから、
十分だろう。
とにかくこの状況を改善する必要がある。
佐藤はこの会社の毒だ。早く辞めさせなければならない。
それと、花村さん......
今日で2日目だが、彼女との仕事はとてもやりやすい。余計な心配をせずに自分の仕事に集中でき、彼女のさりげない気配りもありがたい。
なぜだろう、さっき彼女の顔が曇り、うつむいているのを見たとき、胸が締め付けられるような気持ちになった)


雅は机の引き出しを開け、丸い箱の中からキャラメルを1粒取り出して口に入れた。
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