お菓子の国の王子様





おもむろに立ち上がり、ファックスを読みながら机に向かった。
コンピューターをオンにし、何かを紙に書き出す。ファックスと紙を交互に見ながら、コンピューターに入力を始める。


朝食のカップとお皿を片付けながら、雅は静かに待っていた。


「社長、お待たせいたしました」


ファックスと翻訳した文書を雅の机の上に置く。


「こちらの会社は、『今まで通り古くから伝わる方法を変えることはない。会社を大きくするよりも、今のやり方を守りたいので、BON BONへ輸出できる量は毎月50箱が限度。一箱には8個のお菓子が入っており、それでよければ契約したい』とのことです」

「そうか......俺が提示したのが100箱だったから、そこで食い違ったんだな。50箱でも契約したい。月曜日に国際事業部に行って、先に進めよう。しかし、花村さんはそのファックスをよく読めたね」


ようやく解読できた謎のファックス。
これでこの契約が大きく前進できるという安心と、入社したばかりの美愛の能力に驚かされる。
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