お菓子の国の王子様
「あっ、BON BONの方?」


眉間にシワを寄せ、困った顔を少し傾けて雅を見つめる。




「あははー、そうきたか! まあ、それも却下だね。​普通に名前でいいよ。俺も『花村』さんではなく、『美愛ちゃん』って呼ぶから。なんだか大和が言っていた意味がわかった」


キョトンとした美愛。


「えっ? 私、何かしてしまいましたか?」

「何もしていないよ。美愛ちゃんはそのままで大丈夫だよ。ところで、俺の名前を知ってるよね?」

「......はい」

「呼んでみてよ」

「えっ? い、今ですか?」

「うん、今ね。」


いたずらっ子のようなにっこりとした笑顔を浮かべる雅に、美愛は恥ずかしそうに視線を逸らし、小声でつぶやく。


「.....雅さん」
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