お菓子の国の王子様
「雅さん、すごいです！　これすごいです。お口の中が桃の滝でいっぱいになりました！」


興奮気味に話す笑顔の美愛を見て、誘った甲斐があったと雅は思った。


「あははは、そうか。俺も食べてみないと」


(あれ、この子は本当に笑うとエクボができるんだ......)


その後、二人はゆったりと何気ない会話を楽しみ、なんと全種類を制覇した。雅のお勧めのコーヒーでくつろいでいると、突然ドアがノックされた。


入ってきたのは、このホテルのオーナーであり、親友の九条仁。雅と同様に高身長で、チャコールグレーのスーツがよく似合っている。チャーミングな顔立ちの雅とは対照的に、仁は上品で華やかな顔立ちをしている。どうやら仁は、今シーズンの感想を聞きに来たようだ。


「よっ、どうだった？」

「全部美味しかったよ。特に丸ごとの桃が良かった」


美愛を笑顔で見た。
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