お菓子の国の王子様
美愛はお兄ちゃんと出会った日を思い出し、微笑んだ。


「へー、かなり思い入れがあるんだね。俺もね、このキャラメルがきっかけである子と出会い、将来は輸入菓子の会社を作ると決めたんだ。もうかれこれ15年以上前のことだけれどね」



「雅さんは、10代の頃からきちんと将来のことを考えていたんですね。すごいなぁ」


自分の10代の頃と比べると、しっかりしている雅に感心させられる。


「なんだか照れくさいなぁ。美愛ちゃんにはどんな思い出があるの?」

「ある人からもらったあのキャラメルによって、悲しかった状況からなぐめられたような感覚です。元気をもらった気がします。安心するんです、精神安定剤みたいに。だから、今でも辛い時や悲しい時には、特にその人がそばにいてくれるように感じるから......このキャラメルには癒される感じです」

「そうだったんだ。確かにこのキャラメルは、ほっこりとした気分にさせてくれるよね。ところで、美愛ちゃんが小さい頃の夢は何だったの?」

「......」

「えっ、なになに?」

「.....お菓子屋さんでした」
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