お菓子の国の王子様
「そうなんだ、叶ったね!」

「えっ?」


美愛は不思議そうな表情で雅を見つめている。


「視点を少し変えれば、うちの会社もお菓子屋さんだろう? だから、美愛ちゃんの夢も叶ったことになる」


確かに雅の言う通り、Bon Bonもお菓子屋さんだ。


「......そうですね......でも、私一人でお菓子屋さんになっても意味がないから」


悲しそうにつぶやく美愛の言葉を雅は聞き逃さなかった。その訳を知りたかったが、彼女の悲しげな横顔を見て言葉を飲み込む。なぜか、聞いてはいけない気がしたからだ。


その時、二人はお互いのことを思い出していたことを、まだ気づいていなかった。
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