お菓子の国の王子様
「あのかわいいお嬢さん、俺たちの周りにまとわりつく女性たちとは違ったな。しかもうちのケーキ、雅と一緒に全種類制覇していた。あははは」


一人でウケて、ゲラゲラ笑っている仁。


「あの小さな美愛ちゃんが? 僕も見てみたかったな」


残念がる大和に、仁が続ける。


「俺、雅が女と一緒にあんなに笑っているのを初めて見たよ」

「えっ、そうなの?」

「あのお嬢さん、美愛ちゃんだっけ? 面白い子だね。俺も大笑いしたよ」

「仁もそう思う? 美愛ちゃんには、天然なところがあるよね......おい、雅、さっきから黙ってるけどどうしたの?」


雅は仁と大和の会話を聞きながら、美愛のことを思い巡らせていた。
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