お菓子の国の王子様
もちろん、このバナナブラウニーは喫茶BONで提供されており、すぐに売り切れになる。私のレモンチーズケーキもお客様から好評のようで、嬉しい限りだ。





10分後に到着した副社長は、デカフェのコーヒーを注文した。


「遅くなってごめんね」

「こちらこそ、お時間をいただき、ありがとうございます」


コーヒーを一口飲んだ副社長は、心配そうな表情を浮かべ私を見る。


「美愛ちゃんに話があると聞いて、少し不安なんだけど。まさか会社を辞めるなんて言わないよね?」

「えっ? 辞めません。辞めたくないです。まだ働かせてください」


言われたことに驚き、思わず頭を下げた。


「何だー、びっくりしたよ......よかったぁー。じゃあ、美愛ちゃんは辞めないと。うん、よかった」


ホッとした副社長の顔に笑顔が戻った。
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