お菓子の国の王子様
あっ、以前にも同じようなことがあった。
確か面接中に。あの時はキャラメルのことを言ったんだっけ?


何だか全てお見通しのようなのか、それとも何か探りを入れられているのか。
変なことを言っちゃったのかな?


「もしかして、お姉さんは姉さま?」

「小さい頃はそう呼んでいました。今は名前ですが」

「あのさ、僕のことを大和兄さまって呼んでくれない?」

「は、はい?」

「僕ね、確信した。美愛ちゃんとは長い付き合いになると思うから、今から練習しておこう! さあ、呼んでみて」


目を輝かせている彼に、なぜか拒むこともできず、私はささやいた。


「や、大和兄さま」


副社長は、うんうんと満足そうにうなずいていた。
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