お菓子の国の王子様
大家さんに注意してもらったが、逆効果でさらにひどくなってしまった。


もちろん、鍵もチェーンもかけているが、やはり怖い。


だから引越しを考えている。昨日、喫茶 BONで副社長を待っている間、
ケータイでアパートの情報をチェックしていたのを見られていたかも?


「美愛ちゃん、その男に嫌がらせをされているんじゃないの? 話してみて。力になれるかもしれないから。」


副社長は仕事だけでなく、すべてに対して鋭いの?観察力だけでなく、洞察力も兼ね備えた恐るべき烏丸大和。
もしかすると、この会社で最も敵に回してはいけない人物かも?


社長と副社長は、私が話し始めるのを待っているようだ。これ以上避けることはできないと判断し、この1か月間の出来事をすべて話した。


「……両親に言えば、『帰ってこい』とか『助けてあげる』って言ってくれると思います、きっと。でも」

「美愛ちゃんはご両親に頼りたくないんだね? 自分で解決したいんだよね?」


副社長の問いに、私は小さく頷いた。
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