お菓子の国の王子様
そう言ってくれた社長の顔を見たら、安心した。この安心感、以前にも感じたことがあるな。胸のあたりが温かい。
東京下町、有名なお寺がある観光地。そこから歩いて約10分のところに、静かな住宅地がある。
私の実家はその一角にあり、母のクリニックと自宅が背中合わせに建っている。
クリニックの前を通り過ぎて、裏に回ると、自宅用の門扉と車庫がある。
レンガの柱の間にある黒いダブルドアの門扉を開けると、両脇には姫ライラックの木々と春に白い花を咲かせるワイルドストロベリーが地面を覆うその中に、一際大きな柚子の木とイチジクの木がある。
真ん中には、大人二人が並んで歩ける飛び石が緩やかなカーブを描き、和風モダンの家の玄関へと続く。玄関脇には色とりどりの
バラが植えられてある。
ゆっくりと飛び石を歩きながら、どのように説明するかを頭の中で考える。
すりガラスの引き戸を開けるのを躊躇していると、社長の大きな手が私の背中をそっと支えてくれた。
「美愛ちゃん、俺が話すから大丈夫だよ」
東京下町、有名なお寺がある観光地。そこから歩いて約10分のところに、静かな住宅地がある。
私の実家はその一角にあり、母のクリニックと自宅が背中合わせに建っている。
クリニックの前を通り過ぎて、裏に回ると、自宅用の門扉と車庫がある。
レンガの柱の間にある黒いダブルドアの門扉を開けると、両脇には姫ライラックの木々と春に白い花を咲かせるワイルドストロベリーが地面を覆うその中に、一際大きな柚子の木とイチジクの木がある。
真ん中には、大人二人が並んで歩ける飛び石が緩やかなカーブを描き、和風モダンの家の玄関へと続く。玄関脇には色とりどりの
バラが植えられてある。
ゆっくりと飛び石を歩きながら、どのように説明するかを頭の中で考える。
すりガラスの引き戸を開けるのを躊躇していると、社長の大きな手が私の背中をそっと支えてくれた。
「美愛ちゃん、俺が話すから大丈夫だよ」