お菓子の国の王子様
「ひどいわ、私のことを軽んじていたのね? 娘は大切だけど、私はそうではなかったのね?」

「ち、違う、違う! 私がこんなにもずっと君を愛していることがわからないのか?」


父さまは隣に座っている母さまを強く抱きしめた。その時、母さまが私たちに向かって指でオーケーサインをし、微笑んでいるのを見逃さなかった。


母さまの勝ち!
今でもラブラブな二人だが、母さまの方がいつも一枚、二枚、いや、三枚も上手。


こうして無事?に両親の了解も得て、ついに明日は引越しだ。


その後、雅さんも交えて夕食をいただいた。あんなに気難しい顔をしていた父さまも、雅さんと笑いながら話をしている。


私は実家に泊まることになり、明日の朝、雅さんが車で迎えに来て、一緒にアパートへ向かう。
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