お菓子の国の王子様
翌日、父さまが朝の散歩をしている間に朝食の準備をする。実家では毎週末、少し豪華な洋風朝食を楽しむ。


今朝はドイツの白ソーセージ、数種類のハム、スクランブルエッグ、庭で採れた秋イチジクとヤギのチーズを生ハムで巻いたものが並ぶ。さらに、近所のパン屋さんに特別に作ってもらったプリッツェルと、お豆腐屋さんの出来立ての豆乳も用意する。
コーヒーはもちろん南ドイツのBayern Kaffeeを父さまが淹れてくれる。


母さまはその間、イチジクの収穫をし、ご近所に配り回っている。





父さまが雅さんと一緒に戻ってきて、みんなで朝食をいただいた。


昨夜も思ったけれど、なんだか不思議な感じ。雅さんが実家で一緒に食事をするなんて。でも、この風景が妙に馴染んでいて、まるで当たり前のように感じてしまう。





食後、雅さんは涼介先生に連絡し、私たちが車に乗り込もうとしたとき、母さまが大きなクーラーバッグを渡してきた。


えっ、何よ?
今から引越しをするのに、何で大きな荷物を渡そうとしているの?
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