お菓子の国の王子様
「これを持って行って。うちで採れたイチジクよ。美愛ちゃんが好きなんだものね!」


ニコニコ顔の母さまが渡そうとするが、私は受け取らない。


まじですか?
マジですか?
これから引っ越しに行くんですよ!
しかも、この量‼︎


「えっ、こんなにたくさん? これから引っ越しするのに」

「だから、クーラーバッグに入れたのよ。美愛ちゃんが作るイチジクのジャムは、とても美味しいのよね。ジャムを作ったら、持ってきてね〜」


やはり、私にジャム作りを促していたのね?でも今日は無理、いやだ。いつもなら言い負かされてしまうけれど、ここは強く出ないと。


「もー、だからこれから引っ越しをするって言っているのに」


私が不満そうな態度を取ったとき、仲裁役が現れた。
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