前世の婚約者からは決して抜け出せない底なし沼恋。
藤崎くんの質問に答えるしか出来ていないけれど、何を言って良いのかわからないのだ。
つい数時間前まで、藤崎くんは話したこともない好きな人で、その時の私ならばこんなシチュエーションは喜びでしかなかったはずだ。
けれど、今は……証人も居る前世の婚約者で……私を殺した人。
今世は関係ないって頭のどこかに居る常識的な私は思うんだけど、やっぱりそれは気になるよ。
自分が亡くなった場面しか思い出していないけれど、あの時のお姫様は『愛していた婚約者を最期まで信じていたけれど、その彼に殺されてしまった』んだもの。
前世のこの人なんだよね。
「うん。なら良いんだけど……」
藤崎くんはいきなりおかしな動きをした私に、苦笑していた。きっと、変な女だと思っていると思う。
こんなにも、格好よい人にそう思われてしまうのは悲しい。好きな人どうこうでもなく、女性は格好良い男性を本能的に好きで、そういう人に嫌われてしまうと悲しいものなのだと思う。
「ごめんね……なんだか、緊張しちゃって」
「いや、初対面だし仕方ないよ。続きは、また明日にする?」
つい数時間前まで、藤崎くんは話したこともない好きな人で、その時の私ならばこんなシチュエーションは喜びでしかなかったはずだ。
けれど、今は……証人も居る前世の婚約者で……私を殺した人。
今世は関係ないって頭のどこかに居る常識的な私は思うんだけど、やっぱりそれは気になるよ。
自分が亡くなった場面しか思い出していないけれど、あの時のお姫様は『愛していた婚約者を最期まで信じていたけれど、その彼に殺されてしまった』んだもの。
前世のこの人なんだよね。
「うん。なら良いんだけど……」
藤崎くんはいきなりおかしな動きをした私に、苦笑していた。きっと、変な女だと思っていると思う。
こんなにも、格好よい人にそう思われてしまうのは悲しい。好きな人どうこうでもなく、女性は格好良い男性を本能的に好きで、そういう人に嫌われてしまうと悲しいものなのだと思う。
「ごめんね……なんだか、緊張しちゃって」
「いや、初対面だし仕方ないよ。続きは、また明日にする?」